ペレットストーブとは、燃料に木質ペレットを使用する暖房機器です。
本体にペレットを貯蔵するためのタンクが内蔵されており、電源を使用して少しずつペレットを燃焼室へ送り出します。排気はファンで強制的に屋外へ排出するため、煙突の立ち上げが薪ストーブと比べ設計が容易で、コストも低い傾向にあります。
操作はリモコンや本体のタッチパネルで管理します。電源のON・OFF、着火、ペレットの送り出し量の調整、温風の強さなど、普段の操作のほとんどが管理できます。
本体には基盤が内蔵され様々なセンサーが働いており、着火不良や給排気不足などの異常が感知されると、エラーとなり運転を停止するなど、各メーカーが事故を未然に
防ぐ措置をとっています。
暖房方法としては、ファンを使用して室内へ温風を送り出す熱交換器を備えている機種、本体に蓄熱させて放熱する機種があります。熱交換器を備えている機種は、運転中の表面温度は蓄熱する機種に比べあまり上昇しないため、誤って本体に触れたときの火傷やケガのリスクは少なくすみます。蓄熱する機種は運転中の表面温度は高く、熱交換器を備える機種に比べ長時間放熱するため、ストーブを停止させた後もしばらく室内へ放熱を続けます。
日本でのペレットストーブ年間販売台数 約3,000台(2013年現在)
※当社調べ 輸入ストーブのみの台数
ペレットストーブの煙から排出されるCO2は、植樹された森林や植物が光合成の過程で吸収します。それにより地球上のCO2が増えない、±0であるという考え方を「カーボンニュートラル」といいます。
地球温暖化が叫ばれている昨今、エコやグリーンな活動の一環として、木質リサイクル燃料を使用したペレットストーブが地球に優しいと注目されています。
ペレットストーブで使用するペレットは、正確には木質ペレットと呼ばれます。間伐材や木屑・廃材等を再利用して製造される木質バイオマス燃料(リサイクル燃料)です。
これまで廃棄するのみだった資源の有効活用を目的とし、国を挙げてペレットの普及を推進しています。最近では、自治体でペレットの購入(消費者)に対し補助金制度を設けているところも全国的に増えてきています。
ペレットは主に3種類あります。種類によってペレットストーブの使用感が大きく変わります。
どのようなペレットを使用するかによってストーブの燃焼効率やメンテナンスの手間は大幅に変わります。
ヨーロッパでは用途(ストーブ用かボイラー用)によってペレットのグレードが分かれており、更にペレットストーブ用の中でもグレードが細かく分かれています。
一方、日本では今のところ明確な基準がなく、品質にもばらつきがあります。
ある程度の硬さがあり、乾燥度が高く、バーク(皮)の混合率が低いものが理想的ですが、見た目では判断ができません。地域の販売店から情報を得たり、地域のペレットをいろいろ試して灰の少ないもの、煙の少ないものを使用することが重要です。
※当社でも、ヨーロッパの高品質なペレットを輸入、販売しております。
クリンカーとは、ペレットが燃焼される過程で生成されるガラス質成分により灰が溶融固化した塊状のもので、主に燃焼皿で発生します。クリンカーの発生要因であるガラス質成分は成長の速い植物や部位に多く含まれており、樹木の場合は樹皮側の方が成長が速いため、樹皮部を多く含むペレットほどクリンカーを多く発生させます。
一般的なペレットストーブは燃焼皿の底面に燃焼用の空気を取り込むための穴が開いていますが、クリンカーはその穴を塞いでしまうため、放置しておくと燃焼用の酸素が付録して不完全燃焼を誘発させてしまうのです。
不完全燃焼状態が続くと排気の流れも悪くなり、火室内のペレット供給口からタンク内に熱が伝わり、タンク内のペレットに火がついてしまう「逆火(ぎゃっか)」の一因となる可能性もあるため大変危険です。
そのため、全木やバークペレットを使用する際はこまめなメンテナンスが必要となります。
ペレットタンク内のペレットに火がついてしまい、タンク内で火災が起きてしまうことを「逆火(ぎゃっか)」といいます。
一般的なペレットストーブは、ペレットを貯めておくタンクが本体に内蔵されており、タンク内のペレットは電気制御でスクリューを動かし少しずつ燃焼皿へ送られていく仕組みになっています。逆火はペレットを送り込むスクリュー内で火が逆流し、タンクにまで火がまわるのです。各メーカーでは、逆火を防止するため、温度の異常を感知するとタンクの出口を塞ぐフラップの装備など、様々な対策を施しています。
ペレットは、水分の含有率が高いほど燃焼効率が低くなり、メンテナンスの回数も増える傾向にあります。
適切なペレットを選びましょう。
ペレットは、全国にあるペレットの販売店やWEBから購入することができます。
メーカーによっては自社で取扱いしている場合もあります。現在、国内では海外製・国産どちらも流通していますが、品質は各ブランドにより異なりますので、購入の際は内容や状態を確認するようにしましょう。購入後は湿気のない場所で保管してください。
ペレットの価格は10kgで600円前後が目安となります。メーカーにより違いはありますが、1袋5kg・10kg・15kg・20kg単位で販売されています。
機種により多少の違いはありますが、一般的に火力が「中」のときペレットは約1kg/h消費するといわれています。
10kg=600円のペレットを購入し、1日10時間、1ヶ月で25日使用したとすると、1か月のペレット代は約15,000円となります。
※金額は目安です。機種や火力・使用時間・ペレットの品質により金額が異なる場合があります。
ペレットストーブは、着火・ペレット貯蔵タンクから燃焼室へのペレット送り出し・排気ファン・温風ファンなどに電力を使用します。機種により違いはありますが、一般的に通常使用時で100W前後、着火時で最大350W前後の電力を消費するといわれています。
ストーブを1日10時間、1ヶ月で25日使用したとすると、電気代は1日約30円、1ヶ月で約750円となります。
※金額は目安です。機種や火力・使用時間・ペレットの品質・電力会社により金額が異なる場合があります。
ペレットは里山保全と地域経済の活性化を目的として、地元の間伐材や廃材等を使用して地元企業にペレットの製造を推奨している自治体もあります。そのため、ペレットの「地産地消」を推進する自治体では、ペレットストーブの導入やペレットの購入に助成金制度を設ける事例が増えてきています。お住まいの地域の助成金制度の有無は、各自治体にお問い合わせください。
ペレットストーブには3種類の給排気方式があります。
燃焼室が半密閉タイプの自然給気・強制排気システムです。室内より燃焼用空気を取り込み、排気はファンを用いて強制的に屋外へ排出します。室内の暖かい空気を燃焼に使用するため、ペレットの着火に要する熱エネルギーが最小限でとどめられるため、燃焼効率も良いといわれています。海外製のペレッストーブはほとんどがこのタイプです。負圧対策のため、FF式のように給気を屋外から取り入れる施工をする場合もあります。
燃焼室が室内と完全に区切られる完全密閉タイプの強制給排気システムです。壁の貫通部分に給排気筒を設置し給気と排気を強制的に行ないます。屋外の冷えた空気を燃焼に使用するため、ペレットの着火に要する熱エネルギーが燃焼用空気を暖めるために多く必要とされる方式で、薪ストーブの外気導入と同じく負圧に左右されにくいため高気密住宅で好まれます。国産のペレットストーブに多いタイプです。
燃焼室が半密閉タイプの自然給排気システムです。薪ストーブと同様に、電源を使用せず煙突のドラフト(上昇気流)を利用して給排気を行います。室内の暖かい空気を燃焼に使用するため、ペレットの着火に要する熱エネルギーが最小限でとどめられるため、燃焼効率も良いといわれています。ドラフトをしっかり確保することが重要なため、煙突は最低4m以上、または屋根上まで立ち上げるのが基本となります。
機種やペレットの品質によりメンテナンスの頻度が変わる場合がありますので、定期的に状態を確認し、必要があれば都度行いましょう。
燃焼室に残ったクリンカーは、こまめに取り除いてください。放置しておくと燃焼に必要な空気の供給が遮られ、不完全燃焼や逆火の原因となります。
煙突やファンは、1年に1度ブラシを通してメンテナンスしましょう。煙突を取り外し、溜まった煤(すす)などをきれいに取り除いてください。煙突が詰まると、炎の立ち消えや不完全燃焼の原因となります。
機種によっては、熱交換器部分の灰を落とせるよう機構がついている場合があります。燃焼効率を低下させないためにも数日~1週間毎にブラシを通しましょう。
タンクの底には、ペレットが崩れた粉状の屑(くず)が溜まりますので、定期的に取り除いてください。
放っておくと、ペレットを燃焼室へ送り出すスクリューが詰まり、炎の立ち消えや逆火の原因となります。
灰受け皿に溜まった灰は、満杯になる前に取り除きましょう。ゴミとして廃棄する場合は、各自治体の指示に従ってください。
頻度は機種やペレットにより大きく異なりますが、樹皮混合率の低い全木やホワイトペレットで1週間~1ヶ月に一度が目安となります。